父親の食事が精子に影響を与え、子どもの遺伝子調節に影響を与えるかもしれないというニュースです。
参考記事
父親の食事が子どもの健康に影響する?!
●精子とRNA
http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/tenure/okada-research.html
・精子の核は長径がわずか5ミクロンで、内部はヒストンが除去されてクロマチンが高度に凝集した結果、転写翻訳といった核内イベントはほぼ完全に停止していると考えられている。
しかし近年、精子の中にはヒストンとRNAが少なからず存在することが明らかになり、これらが受精や遺伝情報伝達に何らかの役割を有する可能性が示唆されている。
●中国科学院動物研究所のチー・チェン氏の研究報告
・高脂肪食を食べさせたマウス群(HFD群)の精子を卵子に受精し、普通食を与えたマウス群(ND群)との比較を行った。
・HFD群の子どもは、耐糖能異常やインスリン抵抗性が生じ、15週にはさらに悪化した。
・2群の父親の精子のRNAが子マウスの違いに影響していたかを評価するために、2つのグループの精子からRNAを精製し、通常の受精卵に注入した。HFD群の子どもは血中の血糖値やインスリン値が高かったが、インスリン感受性は、ND群と同様であった。
この結果から、HFD群の精子のRNAはインスリン抵抗性ではなく、耐糖能異常を誘発する情報を保持していることを示唆している。
・ND群とHFD群の子どもの全ゲノム比較から、HFD群ではケトン、炭水化物、単糖の代謝に関与する遺伝子発現が有意に弱いことが明らかになった。
・精子のRNAが食事によって影響を受け、さらに子どもの遺伝子調節に影響を与え、代謝障害を引き起こす可能性がある。
・この結果は、精子のエピゲノム(後天的な環境要因により影響を受ける)やマイクロバイオーム転移、精液のシグナル伝達によって、男性の生活様式が子どもに影響を与えることを示唆している。
2016年01月19日
この記事へのコメント
コメントを書く