マウスの実験で、妊娠初期の飲酒は胎児のエピゲノムの変化を引き起こし、脳構造の形成に影響を与えた、というニュースです。
参考記事
妊娠に気付く前の飲酒は子どもを傷つける?
●フィンランド・ヘルシンキ大学の動物実験の報告
・マウスモデルで大量のアルコールを妊娠初期に摂取させ、妊娠初期の飲酒が胎児の遺伝子を制御するエピゲノムに与える影響を明らかにし、それが後の遺伝子機能と脳構造にどのような影響を与えるかを検討。
脳の中でも記憶と学習に重要な機能をもつ海馬に焦点を当てて検討を行った。
・妊娠初期のアルコール曝露は子マウスの海馬におけるいくつもの遺伝子機能の変化と同様にエピゲノムの変化を引き起こした。子マウスが成長後の脳構造にも変化が見られた。
・アルコール摂取による同様の遺伝子機能の変化が子マウスの脳以外の組織にもみられることを研究チームは発見した。これらの結果は、アルコールが初期の胚細胞の遺伝子制御機構に対して永続的な変化を及ぼすことを示唆している。
・妊娠中の飲酒が子どもに与える影響には、幾通りもの異なる経路が存在する。学習能力などの認知機能もそのひとつである。
・ヒトで胎児性アルコール症候群に似た、発育遅延、顔面や頭蓋骨の変形、多動障害などの症状が現れた。受胎直後から神経系が発達し始めるまでの期間が特に問題であり、ヒトでは受胎後3-4週目に相当するので、妊婦は妊娠に気付いていない可能性も高い。
・妊娠初期には細胞分裂と細胞分化がさかんに行われる時期であり、異なる細胞に分化する前の共有されたDNAが影響を受ける可能性が高いので、環境因子の影響を受け易く、わずかな変化でもその後の分化によって広範囲に影響を及ぼす可能性が高いという。
2016年02月11日
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