マウスの実験で、クルミの摂取が大腸がん細胞中のマイクロRNA(miRNA)の発現プロフィールに影響を与え、がん細胞の増殖を遅くした、というニュースです。
参考記事
クルミが大腸がんの増殖を遅くする
●マイクロRNA(miRNA)とは?
・ゲノム上にコードされ、多段階的な生成過程を経て最終的に20から25塩基長の微小RNAとなる機能性核酸である。
・機能性のncRNA(non-coding RNA: タンパク質へ翻訳されないRNAの総称)に分類されており、ほかの遺伝子の発現を調節するという、生命現象において重要な役割を担っている。
●miRNAとがん
・miRNAは、がん、心血管疾患、神経変性疾患、精神疾患、慢性炎症性疾患などの発症と進行に関わっている。特に、がんの原因因子についてはさまざまな議論がなされているが、その中でもmiRNAは、細胞のがん化に深く関与していることが多くの研究者らによって指摘されている。
・がんに関わるmiRNAに、正の制御をする(がん化を促進する)ものと負の制御をする (がん化を抑制する)ものの2種類のタイプが存在することがわかっている。
●米国ハーバード大学からの研究報告
・研究チームはマウスをランダムに2群に分けて実験を行った。1群にはヒトの2サービング相当のクルミを含む食事を、別の1群にはクルミなしの対照食を25日間与えた。
・その結果、クルミを食べたマウスでは、がん細胞の炎症、血管増殖、増殖に鍵となるmiRNAががんを抑制する方向の変化を示した。
・クルミを食べたマウスの腫瘍細胞には、対照群の細胞に比べてオメガ-3系脂肪酸(α-リノレン酸など)が10倍以上多く含まれていた。
・腫瘍のサイズはより小さくなっており、オメガ-3系脂肪酸の効果が示唆されたという。また細胞増殖も低下した。
α-リノレン酸は必須脂肪酸であり、ナッツの中ではクルミだけが顕著な量のα-リノレン酸を含んでいるという。
・クルミの成分は、大腸がん細胞中の保護的な脂肪酸と直接あるいは複数の因子と共に相互作用を起こしてこの効果を発揮する、とこの研究者は考えている。
2016年02月14日
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