マウスの実験で幼少期に低用量の内分泌かく乱物質に曝露すると肝機能に悪影響を与えた、というニュースです。
参考記事
内分泌かく乱物質は、脂肪肝を引き起こす
●内分泌かく乱物質曝露の影響
・内分泌かく乱物質と呼ばれるビスフェノールA(BPA)やホルモンの作用を妨害する化学物質に幼少期に曝露すると、成人期に肥満を促進する可能性が指摘されているが、正確な原因は不明である。
●テキサスA&M大学のシェリル・リン・ウォーカー博士の研究
・肝臓が発達段階にある生後3日のラットに対して、4種類の内分泌かく乱物質をそれぞれ低用量で与え、曝露直後および70日後の肝臓組織を観察し、曝露されていない対照群ラットと比較した。
その結果、ビスフェノールA(BPA)と塗料や繊維に添加されるトリブチルスズが、ヒトの非アルコール性脂肪肝や脂肪肝においても見られる肝臓の損傷の原因となっていた。
また、曝露されたラットの肝臓遺伝子発現の分析より、内分泌かく乱物質が動物のエピゲノムの再プログラミングを誘導することが明らかとなった。
・たとえ短時間でも、成長の大事な時期に内分泌かく乱物質に曝露すると、一生涯、影響を受ける。変化は分子レベルなので、成長しないとわからない、とウォーカー博士は述べている。
・肝臓の再プログラミングは肥満を誘導するが、遺伝的欠陥とは違い、エピジェネティックなプログラミングは元に戻すこともできると思われる。
また、エピジェネティックな変化を、子供の肥満や疾患リスクのマーカーとして使用できるかもしれない。
※ビスフェノールA(BPA)
・ポリカーボネートやエポキシ樹脂をはじめ、さまざまなプラスチックの合成に使われている。
・ビスフェノールAを原料とする樹脂では、洗剤で洗浄した場合や酸・高温の液体に接触させた場合にビスフェノールA成分が溶け出すことが知られている。
2016年03月18日
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