コレステロール降下薬であるスタチンには認知機能に対する副作用の懸念があったが、系統的レビューを行った結果、関連は認められなかったというニュースです。
参考記事
スタチンで本当に記憶力や認知機能が損なわれるのか?
●スタチンの副作用
・米国食品医薬品局は、スタチンの包装には、薬により利用者の認知能力が変わることがあることを警告する必要があると規定している。
認知能力の変化とは、注意力のスパン・問題解決能力・記憶力・言語や視空間能力などが含まれる。
FDAの警告は、サーベイランスや症例報告・観察研究・無作為化試験に基づいて出されたものであった。
●ブラウン大学・ロードアイランド病院アルツハイマー病・記憶障害センターによる研究
・約47,000人からなる25件の臨床試験の系統的レビューを行った。
スタチン療法と精神的能力の関係を調査した25件のランダム化臨床試験のデータを精査するより総合的な分析を行った。またメタアナリシスで、27,643名の参加者を含めた14研究の結果を組合わせ、比較した。
・その結果、正常な脳機能の人だけでなく、アルツハイマー病患者の精神能力に対するスタチン利用による有意な影響は認められなかった。
・研究チームは、本レビュー結果とFDAの警告の基盤となった当初のレポートが異なる原因を調査する必要があるとしている。事例研究で報告された精神的な変化は、スタチンとの過剰投与の結果であった可能性もある。
混濁していたり記憶力に問題があるスタチンを処方されている患者は、他の薬の使用や、全身性や神経精神医学的原因など、コレステロール薬以外の原因を調べると良いだろう。
2016年05月04日
この記事へのコメント
コメントを書く