低濃度のアスピリンを結腸がん患者が服用し続けた場合の生存率、HLAクラス抗原の発現との関連に関するニュースです。
参考記事
アスピリンは結腸がん患者の生存率を高める
●先行研究の報告
・アスピリンの服用が結腸がんと診断された患者の生存率を高めることが報告されていたが、そのメカニズムは明らかではなかった。
●HLAクラスI抗原
○HLAとは?
・ヒト白血球型抗原(HLA)とはヒトの主要組織適合遺伝子複合体のこと。
・HLA型は白血球の型を示している。ただし、白血球以外にもHLAは存在するため、現在ではヒト白血球型抗原の名称で呼ばれることはほとんどなく、HLAと略して呼ばれる。
○HLAと免疫
・HLAの主な働きは、自然免疫の制御、獲得免疫におけるT細胞への抗原提示。
・免疫系は様々な非自己を排除できるように複雑に構成されており、非自己の情報を得るための自己として、HLAが関与している。
○HLAクラスI抗原
・クラスT抗原は、ほとんどの有核細胞や血小板、血漿中にある。
・ウイルス感染細胞やがん細胞は免疫応答から逃れるために、自身のクラスT抗原を消失させる。
●蘭ライデン大学からの研究報告
・2002-2008年に結腸がんと診断されて手術を受けた999名の患者の腫瘍組織を対象に、HLAクラスI抗原と酵素のプロスタグランジン・エンドペルオキシド・シンターゼ2(PTGS2)を測定した。
・999名中182名がアスピリンを使っており、うち69名(37.9%)が死亡した。非アスピリン使用者は817名であり、うち396名(48.5%)が死亡した。がん診断後のアスピリンの服用によって全体的な生存率は改善された。
特にアスピリンのメリットが強かったのは、HLAクラスI抗原を発現していた患者であった。
・今回の結果から、研究チームは、アスピリンが循環する腫瘍細胞に働いて遠隔転移を抑えるためではないかと考察している。
2016年08月01日
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