マウスを対象にした研究で、植物ベースの脂肪(ココナッツオイル、一価・多価不飽和脂肪)でも食べ過ぎると、肥満、結腸がん、過敏性腸だけでなく、免疫系や脳機能にも関連する遺伝子に悪影響を与えるという研究報告です。
参考記事
New reasons eating less fat should be one of your resolutions
Impact of various high fat diets on gene expression and the microbiome across the mouse intestines
Impact of various high fat diets on gene expression and the microbiome across the mouse intestines
●カリフォルニア大学リバーサイド校による研究報告
○研究方法
・24週間にわたってマウスに3種類の異なる高脂肪の食事(いずれもカロリーの少なくとも40%は脂肪由来)を与え、腸のマイクロバイオームや遺伝子変化に与える影響を調べた。
・あるマウスのグループにはココナッツ油の飽和脂肪をベースにした食事を与え、別のグループには一価不飽和の加工大豆油を与え、三番目のグループには多価不飽和脂肪を多く含む未加工の大豆油を与えた。
〇研究結果
@大きな変化を受けた遺伝子
・脂肪代謝や腸内細菌の構成に関連する遺伝子。
・感染症への感受性を調節する遺伝子
・体の炎症を制御するのに役立つサイトカインシグナル伝達遺伝子が打撃を受けた。
・新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が体内に侵入するために使用される ACE2 およびその他の宿主タンパク質の発現を増加させる
・遺伝子発現への影響に関しては、ココナッツ油が最も多くの変化を示し、次に未修飾大豆油が続いた。2 つの大豆油の違いは、未修飾大豆油に含まれる多価不飽和脂肪酸、主にリノール酸が遺伝子発現の変化に関与していることを示唆している。
・いくつかの神経伝達物質遺伝子の発現が高脂肪食によって変化することも発見し、腸と脳の軸が食事によって影響を受ける可能性がある。
Aマイクロバイオームへの影響
・病原性大腸菌の増加
・病原体から体を守るのに役立つバクテロイデスの抑制
・マイクロバイオームへの負の変化は、大豆油食を与えたマウスでより顕著だった。
B腸内の幹細胞への影響
・高脂肪食品が結腸内の幹細胞の兆候を増加させることを観察。
→癌の前兆となる可能性がある
C大豆油の影響
・大豆油がマウスの肥満、糖尿病、インスリン抵抗性、脂肪肝を誘発することを発見した。
・自閉症、アルツハイマー病、不安、うつ病などの症状に関連する脳内の遺伝子にも影響を与える可能性があることを実証した。
・これらの発見は大豆油にのみ当てはまり、他の大豆製品、豆腐、または大豆自体には当てはまらないと指摘している。
2024年01月09日
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