マウスを使った研究で、断食によってナチュラルキラー細胞が活性化され、かん細胞を殺す能力が向上するかもしれない、という研究報告です。
参考記事
Fasting primes the immune system's natural killer cells to better fight cancer, new study in mice finds | ScienceDaily
Fasting reshapes tissue-specific niches to improve NK cell-mediated anti-tumor immunity.
●断食、その他の食事療法とがん治療について
・がん細胞の成長に必要な栄養素を奪い、がん治療の効果を高める方法として、注目されている。
●ナチュラルキラー細胞とは
・がん細胞やウイルスに感染した細胞などの異常な細胞や損傷した細胞を殺すことができる白血球の一種。
・標的を絞った反応を起こすために特定の敵に事前にさらされる必要がある T 細胞とは異なり、ナチュラルキラー細胞は、これまで一度も遭遇したことのない脅威を破壊できるため、この名前が付けられている。
・一般的に、腫瘍内に存在する NK 細胞の数が多いほど、患者の予後は良好になる。
●メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSK)による研究報告
〇研究方法
・がんを患ったマウスに週2回、24時間食事を断ち、その後は断食の合間に自由に食べることを許可した。
・この方法により、マウスの全体的な体重減少が防がれたと著者らは指摘している。
〇結果
・断食がナチュラルキラー細胞の代謝を再プログラムし、腫瘍内および周囲の厳しい環境での生存を助けると同時に、がんと闘う能力も向上させることを初めて実証した。
・人間と同じように、マウスの血糖値も下がり、遊離脂肪酸が増加した。
遊離脂肪酸は脂肪細胞から放出される脂質で、他の栄養素が不足しているときに代替エネルギー源として働くことができる。
〇推察
・断食サイクルのたびに、NK細胞はこれらの脂肪酸をグルコースの代わりの燃料源として使うようになった。
→腫瘍の微小環境には高濃度の脂質が含まれるため、これによって抗がん反応が最適化され、この代謝訓練によりNK細胞は腫瘍内に侵入してよりよく生き残ることができるようになった。
2024年06月19日
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