2024年08月28日

胆石があっても胆のう摘出が必要とは限らない?

胆石による腹痛のある患者群を@標準的な胆のう摘出術、A痛みの症状を評価した上で様子を見ながら必要に応じて摘出手術を行う制限的選択戦略、を行うグループに分け、5年間追跡調査をおこなったところ、標準的な胆のう摘出手術が必ずしも必要とは言えない、というオランダでの研究報告です。

参考記事
Cholecystectomy not always necessary for gallstones and abdominal pain
Restrictive Strategy vs Usual Care for Cholecystectomy in Patients With Abdominal Pain and Gallstones 5-Year Follow-Up of the SECURE Randomized Clinical Trial
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39167382/
Restrictive strategy versus usual care for cholecystectomy in patients with gallstones and abdominal pain (SECURE): a multicentre, randomised, parallel-arm, non-inferiority trial

●胆石のある患者に対する一般的な治療方法
・毎年、10万人が腹痛で医師の診察を受け、そのうち約3万人が胆石と診断されていて、これらの患者に対する標準的な治療法は、腹腔鏡による胆嚢摘出術。
・1990年代以降、明確な国際基準がないにもかかわらず、手術件数は飛躍的に増加しているが、痛みに対して必ずしも効果的ではない。
・患者の約3分の1は、胆嚢摘出後も腹痛を経験し続ける。
・この処置は長い間不適切な治療の例となってきたが、現在ではこれが変わりつつある。

●ラドバウド大学医療センターによる研究報告

〇研究方法
・胆石による腹痛の患者を以下の2つのグループに分けた。
@胆嚢摘出術という標準治療を受けるグループ
A制限的選択戦略を受け、さまざまな痛みの症状を評価した後でのみ手術が検討されたグループ。
・5年後に追跡評価を実施。
・1000人以上の患者に電話アンケートを実施し、患者の医療記録を調べた。

※段階的な胆嚢摘出を選択する制限戦略
・制限戦略では、トリアージ ツールで事前に指定された 5 つの基準すべてを満たす患者に胆嚢摘出が推奨される。
・基準は、1) 激しい疼痛発作、2) 15〜30 分以上続く疼痛、3) 心窩部または右上腹部に疼痛がある、4) 背部に放散する疼痛、および 5) 単純な鎮痛剤に対する疼痛反応が陽性である。

〇結果
・制限的戦略グループの手術数は減少し、1年後、両グループの患者の3分の1がまだ腹痛を抱えていた。
・5年後の追跡評価においても痛みを抱える患者の数は何年も減っておらず、痛みのない患者は依然として 3 分の 2 に過ぎなかった。

〇胆嚢摘出手術を選択する際の注意点
・激しい、断続的な痛みがある場合は手術の必要性が高いと言えるが、以前に腹部手術を受けたことや、膨満感、胸焼け、持続的な痛みなどの他の症状があるときは手術に対して慎重な検討が必要。
・再発性胆道疝痛の患者は、この手術から確実に恩恵を受ける。
・しかし、胆石のある患者の 3 分の 1 以上は、消化不良や過敏性腸症候群の症状も持っていて、これらの場合、この手術は役に立たない。胆嚢摘出術を進める前に、これらの症状を除外する必要がある。

〇生活習慣介入の効果
・腹痛や胆石がある場合は、症状について医師と十分に話し合い、胆嚢手術が正しい選択であるかどうかを一緒に決めることが重要。最初のステップは、食生活を調整し、脂肪の摂取を減らして、症状が治まるかどうか確認すること。
・生活習慣介入によって患者の健康状態、生活の質が改善され、痛みが軽減されることを期待している。
posted by ほのぼん at 15:38| Comment(0) | 病気予防 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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